はじめに
Twitterで最近言及していますが、【BIツールには「定点観測型」と「アドホック分析型」がある】というお話。
7年近く業務でMotionBoardを使用してきた。予備知識ゼロから始めて、まさに死に物狂いでくらいついてきた。
過去のやりとり確認したところ、MotionBoardは5年でした。
調子乗って盛っていました。
すいません。
さらに知識を増やすために最近プライベートでTableauを使い始めた。こちらは今まさにDataSaber取得を目指し、この1か月半それなりに頑張っている。
(ついでに、少しではあるがPowerBIも使ってみた。こちらはご隠居さんのボードを作ったツールである。)
いくつかのツールを使ってみて、気が付いたことが冒頭の【BIツールには「定点観測型」と「アドホック分析型」がある】だ。
今回のブログでは、そのいつくかツールを使ってみた経験を踏まえ、「定点観測型」と「アドホック分析型」のツールについて、簡単に分析(MotionBoardよりの説明)していきたい。
皆さんのBIツール導入の参考となれば、幸いである。
現時点での知識をざっくり書いています。
間違いがあるかもしれませんが、ご了承ください。
ご指摘いただければ、修正いたします。
MotionBoardは帳票を出力するツールとして始まったそうです。
帳票ですので「みんなで共有する」という視点からのスタート。
共有する前提からのスタートですので、DBサーバなどの権限をTableauよりも柔軟に設定できるそうです。
サーバー接続やってこなかったので、よくわからないんですけどね。
ウィングアークの方がおっしゃっていました。
機能の表層部分では、競合ツールでできることは可能な限り模倣していると思います。
ただし、起点からの思想が現在の機能にも根付いている部分もある。
だから、歴史も重要なのかなと思う。
導入を検討されている企業さん、現時点の機能比較の他に原点を確認するのも良いかも知れません。
使い込めば使い込むほど、その原点部分でメリット・デメリットに気が付くと思います。
Tableauの歴史も聞いてみたいな。
「定点観測型」と「アドホック分析型」について
まず、私が感じた「定点観測型」の機能、「アドホック分析型」の機能について言及しておきたい。
定点観測型
MotionBoardはこちらの定点観測型で、イメージとしては、自動車のダッシュボード。
一度作ったダッシュボードは基本的には変更することがなく、ボード内に配置された情報を定点的に更新・可視化し、自動車の状態を確認するために使用する。
これがビジネスであれば「会社の経営状況を定点観測する」であったり、「工場・生産ラインの状況を定点観測する」という事になる。
そもそも、ツールの始まりが「帳票作成の効率化」だったんじゃねーかな。
だから、固定のレイアウトにデータを表示することが得意なんじゃねーかと思うんだわ。
ここらへんの見た目から「MotionBoardは堅い」って印象があるよな。
アドホック分析型
Tableauは、こちら。データから【今をアドホックに分析】するイメージ。
簡単にさくさくできる。
製品名のTableau、フランス語で絵画を意味するからな。
優雅だわな。
Youtube、Tableau Softwareチャンネルより。
この手軽さが「Tableauはやわらかい。」と思う部分だな。
そもそも作ったシートをクリック一つで全クリアできるボタンがTableauにはあるんだよ。
これが「アドホック」を象徴していると思うんだよな。
ただ、そこから先、複雑な機能を持たせて、ボードを制御する。
この部分があまり得意じゃねーみてーだな。
1枚の絵画を仕上げる、それが製品開発思想の根底にあるのかもな。
アプリケーションの提供方法
続いて、アプリケーションの提供方法を確認しておく。
提供方法は大きく分けて、「デスクトップアプリケーション」「Webアプリケーション」の二つ。
デスクトップアプリケーション
アプリケーションをダウンロード、インストールして使う方法。
Webアプリに比べて操作性が良く、「Ctrl+z」の取り消しなど自由に使える。
しかし、デスクトップで作業するから複数人で管理する場合はボードのバージョン管理が難しく、デグレードに注意が必要。
また、アプリで作ったダッシュボードをWeb上で公開・共有する機能を別途もっている。
TableauもPowerBIもこちら(ただしWeb版もあり)。
Webアプリケーション
MotionBoardはこちら。
Web上でボードを作成するため、複数ユーザで編集・加工する場合でもバージョン管理が楽。
ただし、デスクトップアプリケーションほどの使い勝手の良さはない(その前提でできるだけ使いやすいようには作られている)。
MotionBoardはみんなで共有するを起点としているから、デスクトップ版は提供しないのかもしれません。
ユーザーライセンス
MotionBoardのライセンスは、ライセンス数を指定して契約。
種類はなく、あくまでライセンス数のみ。
そのライセンスに対して、個別ユーザを割り当てる(作成する)。
ユーザ管理には、下記「グループ」「ロール」の概念があり、これによりユーザの権限を制御する。
①グループ:ユーザをグループ(自由に作成可能)に分けて管理する。ユーザは複数のグループに属することが可能
②ロール:グループに対して付与する機能の権限。編集権限、データダウンロード権限など細かく設定可能。本気で調べたことはないが、全ての機能に対して権限の調整ができるのではないかと思う(ログインしても何も映らない、何もできないグループも作れるだろう)。
割り当てるのだから、入れ替えも自由にできる。
このユーザー管理はTableauよりもはるかに簡単にできます。
「みんなで共有→共有する相手を簡単に管理できる」という流れなのかもしれません。
で、Linuxユーザー残しながら、ライセンス権を与えるユーザーを変更する、そんな感じだな。
やっぱり、堅いよな。
Tableauは、ライセンスに権限に起因する種類が複数ある。
今のところ切り替えはしたことがないが、メールアドレスに関連付いているため、サポートとのやり取りが発生するはず。
ここらへんの構成も「みんなで共有」と「一人で絵画を仕上げる」との発想の違いを感じます。
ボードの閲覧権限
MotionBoardでは、グループ単位でフォルダ(正式名フォルダじゃないかも)の閲覧権限を設定することができる。
フォルダとは
ボードは、PCのフォルダとファイルのように管理することができる。
フォルダ:PCのそれと全く同じイメージ。多階層化することも可能。
ダッシュボード:PCのファイルのように、各フォルダ内に保存することができる。コピー、移動、削除も可能。移動は操作するごとに開いているフォルダの階層がすべて閉じるため、操作性は良いとは言えない(複数のボードを移動させる時、毎回フォルダを開きなおさないといけない)。
左側にフォルダの階層が表示されて、右側に今いるフォルダ内のダッシュボードが表示されるイメージだな。
(例外:ユーザ毎に最初に開くボードを指定できる。その時は指定したボードが開く。)
権限設定
Linuxのパーミッション設定をGUIでできるイメージ。グループ単位で各フォルダに対し設定可能。
データ保有方法(MotionBoard)
大きく分けて4パターン
ボード専用データ
そのボードでしか利用できないボード専用のデータ。ボードの定義ファイル内にデータを保有する。
最も手軽にデータを使える方法だが、大量データをあげると、ボードの定義ファイルが肥大化する。
ダッシュボードの中に情報として包含されているため、他のボードで共有(参照)することはできない。
ボードをコピーすれば、コピー後のボード内に新たなデータとして複製されるため、コピー分だけサーバの容量を圧迫し、かつデータの世代管理も難しくなる。
Agentという、データアップローダをうまく活用すれば、リアルタイムのデータ更新も可能ではないかと思う(やったことはない)。
MotionBoardには、データをアップロードするためのツール「Agent」というものがある。
活用してはいないが、定期的にデータを更新するタイマー設定も可能。
共有データ
MotionBoardのサーバ領域に共有データ(共有アイテム)として保持。共有データのため、複数のダッシュボードで表示することが可能。
Agentという、データアップローダをうまく活用すれば、リアルタイムのデータ更新も可能ではないかと思う(やったことはない)。
ストレージ
Dr.Sumのデータベースエンジンを利用した高速データベース。体感的にはS3よりも20%~30%早い。
Agentという、データアップローダをうまく活用すれば、リアルタイムのデータ更新も可能ではないかと思う(やったことはない)。
外部DB連携
どのBIツールにもあると思われる機能。
DBのデータを更新すれば、リアルタイムでのデータ閲覧は可能。
実際、定点観測する場合はデータ更新の頻度と自動化の方法を検討する必要あり!!
目的別ダッシュボード
ダッシュボードを目的別に分類するのであれば、下記のようになると思う。
閲覧式 | データドリブン式 | |
定点観測 | レポート型ダッシュボード | 探索型ダッシュボード |
アドホック分析 | 説明型ダッシュボード | 分析業務(ボードではない) |
- レポート型ダッシュボード
社内の定期報告書や生産現場の状況管理のイメージ。
ただし、BIツールを活用するので、リアルタイムのデータ更新や複数社員での共有ができる。
例)上記、ウイングアーク社公開の動画 - 探索型ダッシュボード
絞り込み条件をユーザが自由に設定することができ、現状分析・問題点をユーザーが探索するダッシュボード。
例)これ - 説明型ダッシュボード
データを分析し、見つけたポイントなどを強調・説明するためのダッシュボード。
イメージとしては一点物の報告書(分析レポートと表現したいが、「レポート型ダッシュボード」の名称と重複するため『報告書』と表現)に近い(定期報告書ではない)。
例)これ - 分析業務
ダッシュボードでの提供・共有ではなく、データを操作しながら完全にアドホックで行う分析。
BIツールではなく、専門の解析ツールを使った方が良いと思う。
この中で、レポート型ダッシュボードは定点観測型のツールが得意であり、説明型ダッシュボードと分析業務はアドホック分析型ツールが得意だと思う。
ユーザがボードを操作しながら、インサイトを探索する探索型ダッシュボードは、どちらのツールでも作成できるのではないかと思っている。
ダッシュボードの制御(MotionBoard)
MotionBoardは特にレポート型のダッシュボードを得意とするBIツールだと思う。
その理由は、ボタンによる多彩な制御機能。
イメージとしては、「scratch」によるプログラミング。
下記のような手順で、ボタン機能を作成・制御することができる。
①ボタンをつくる
②ボタンに機能を割り振る
③①②を繰り返し、複数のボタンをつくる
④作ったボタンをつなげる(ボタンの機能指定で次に動かすボタンを指定)
ボタンには様々な機能を指定することができる。
例えば・・・
- 表示していたグラフを非表示にし、非表示にしていたグラフを表示にする(グラフ切り替え)
- 表示している項目を入れ替える(Tableauの列・行・値をそっくり入れ替える)
- 変数に特定の値を入れ、絞り込みしなおす
- 画面をスクロールして、特定の位置に移動する
- 画面固定のままグラフを移動する。グラフの大きさを変える。
- 他のダッシュボードにジャンプする。
- 条件により遷移するボタンを切り替える(IF文、CASE文的な分岐)
- 複数のボードを一つのモニター上に切り替えながら表示する
(工場生産現場での、3つのボードを20秒間隔で切り替え、現場の現状を可視化する!
自動で機能する仕組みであるが、これもボタンに機能を持たせて、設定した待機時間で切り替え制御する)
など、様々な制御を指定、組み合わせることができる。
ただ、そのボタン(機能)の連結がめんどくさかったり※、頑張れば何でもできてしまうところがやっかいなんだよ。
「できません」で終わらねーんだわ。
ボタンの設定ウィンドウの下に、プルダウンのメニューがある。
それをクリックすると、ボード内のすべてのボタン名が表示されるので、そのなかから一つボタンを選ぶ。
そのボタンが次に実行されるボタン(機能)となる。
複雑なボードをつくると、数十個のボタンを用意することもある。
それを一つずつプルダウンで指定、つなぎ合わせて、挙動の制御をする。
どのボタンがどの機能なのかを区別できるように、すべてのボタンにきちんとした名称を付けなくてはならない。
だから、複雑なボードをつくると、設定すること自体が指数関数的に大変になる。
scratchの様に、完全GUI環境で連結できると良いと常々思う。
作りこんだボードはBIツールというよりも、GUIでつくるBIアプリケーションと言ってもいいくらいだ。
ただ、大変だ。とにかく大変だ!!!
つくること自体が大変だから、アドホック的な使い方はMotionBoardには向かないんだ。
でも、アプリケーションのようなものをつくることができるから、複雑な制御を伴う定点観測ツール(疑似アプリ)をつくるなら絶対MotionBoardだな。
だから、MotionBoardは良くないというはなしではない。
『ツールにはあくまで得手不得手があるので、目的にあったツールを使うことが大切』ということだぞ。
まとめ
つらつらと、思いつくままに書きました。
最後にまとめると
- ダッシュボードツールには、「定点観測型」と「アドホック分析型」があると思う
- MotionBoardは「定点観測型」、Tableauは「アドホック分析型」と感じる
- 定点観測型のツールは相対的に分析業務は不得手。
アドホック分析型のツールは「BIアプリケーション(複雑な制御を有するアプリケーションに近いもの)が相対的に不得手。 - ツールには長所・短所、得手不得手がある。目的に合ったツールを選びましょう。
- アドホック型のツールで現状分析・KPI/KGIを定義し、定義した指標を定点観測型ツールで可視化、定期的にレビューする使い方が理想だと思う。
機能部分メインでボード作成手順の説明が不足しています。
記事執筆当時は機密性の高い業務だったため、自分のモニタ画像をキャプチャーできませんでした。
また、今はMotionBoardはライセンスもっていないため、記事にできません。
いつかまたMotionBoardも使える環境になったら、追記したいと思います。
最後に
ということで、さっくりとBIツールの特性について、考察してみました。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
本日はここまで。。。
それではまた!! ノシ~~~~~